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TAKAHIRO KONASHI official blog

音楽之友社「教育音楽」Facebookページで紹介されました。

音楽之友社の雑誌「教育音楽小学版」の2016年12月号において、ICT機器活用の特集を組むということで、勤務校での取り組みについて先日取材を受けました。学校教育のICT化が進む中で、音楽の授業もその流れに逆らうわけにはいきません。何ができるのか、何が変わるのか…模索を続けていきます。

 

次世代の音楽の授業を模索して①…タブレットが学校にやってきた

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この夏、私の勤務校にも40台のタブレットPCが入りました。児童が1人1台、タブレットを使いながら行う授業が可能になったのです。タブレットは、タッチパネルで児童でも直感的に操作できる点や、コンピューター室を飛び出し、教室や特別教室でも使うことできるという点で、学校教育現場での新たな教育効果が期待されています。私も早速、音楽の授業で…と使い方を考えてみたのですが……現状では学校ならではの制約がまだまだ多く、授業にたどり着くまでにだいぶ苦労しました…。まずは音楽の授業でタブレットを活用するに至るまでの苦難についてお話したいと思います。
 

学校に来たタブレットは「Windowsタブレット

 
学校に来たのは、いわゆるWindowsタブレットと呼ばれる、現在のWindowsパソコンで主流になってきたものです。これは、アップル社から出たタブレットiPad」の大ヒットを受け、Microsoft社が、今まで使っていたWindowsのソフトが使えるように互換性を保たせながら、キーボードと本体を分離させ、タブレットとして活用することを可能にしたものです。しかし、美味しいとこ取りをしようとしたばかりに、どうしても使い勝手が悪くなってしまっているのです。
一番困ったのは、インターフェイス(表示されている部分)が美しくなく、字が小さくて見にくい、ということです。10インチにも満たないディスプレイ上で3ミリ以下の文字をクリックしなければならないのは、とてもイライラが溜まります。実際児童は間違った部分を多くクリックして、教師が修正するのに余計に時間を使うことになってしまいます。タッチペンが付属しているのですが、反応が悪く、使い勝手がよくありません。まあ、これは我慢すれば何とかなる問題ですが…。
 

使いたい「ソフト」が使えない。本体に教材を保存しておけない。

 
学校に配布されるPCはライセンスの関係で、使えるソフトが非常に限られています。主に主要5教科での活用を想定しているので、学校での使用を想定した「統合ソフト」と呼ばれるものが中心で、教科に特化したソフトまでは予算的に入れてもらえないのが現状です。
また、これは自治体が管理するものであるがゆえ致し方ないことなのですが、教師が勝手にタブレットにソフトをインストールすることはできません。(使いたいソフトがある時は、教育委員会許可申請をし、受理されてICインストラクターがインストールしてくれるまで使えません。そもそもフリーソフトではなかなか許可がおりません。)あらかじめ長期的な視点に立ってタブレットを使用する授業を設定し、使用可能なソフトを決めておかなければならない、ということで、教師にとってはこの点でも非常に使い勝手が悪いです。
また、セキュリティのためとはいえ、教師にとって非常に悩ましいのは「瞬快」という、タブレットが起動するたびに初期設定に戻す、というソフトが組み込まれていることです。これによってマイドキュメント等に書類や画像を置いておくことができなくなるため、教師がいちいちタブレットを起動させた後に、ファイルを本体にコピーしなければならないのです。ネットワーク上のサーバーに保存することは可能ですが、音声や映像ファイルなどの大きなファイルは、クラス全員が一斉に再生するには、インフラがまだ十分その負荷に耐えられる状態になっていないのです。
 

結局、日本のICT教育が進まないのは「大人の都合…」

 
昨年、佐賀県武雄市が、先行実践研究校でiPadを使い成果を挙げながら、児童生徒全員に配られたのは結局Androidタブレットの安いもので、故障が多発し授業の使用に耐えられず現場が混乱したことは記憶に新しいところです。結局、日本の教育の世界でも予算や利権が絡み、本来子どもたちにとって有用なものが配られにくいのが現状なのです。私が勤務する学校の市町村は、教育に対する予算のあて方は県内でもトップクラスに素晴らしい、と思っています。しかしながら、ICT教育に関連する予算の使い方は、選定されている機材を見るにつけ、十分子どもたちの側に立った選び方がされてないな、と感じざるを得ません。また、セキュリティをしっかりすることは大事なことですが、それが原因で、ただでさえ忙しい先生たちを、「どうせ学校のパソコンではできないから…」と授業でのICT機器活用から遠ざけているのも事実です。私たち大人には、さらに変化の加速する社会に生きる子どもたちにとって本当に必要なものは何なのか、そしてそれらをどう柔軟に活用していくのか、斬新な発想と先見の明をもつことが求められているのです。
 
次回は「それでも何とか指導案と教材を作った」お話しです。
 
 

すべての景色を記録する。リコー・THETA(シータ)レビュー

ノートパソコンやスマートフォンは、様々なメディア(音楽、文書、画像、映像…)をいつでも持ち歩ける手軽さをもたらしてくれました。そして、スキャナーとクラウドサービスのevernoteエバーノート)は、紙の書類でもパソコンやスマートフォンでいつでも見ることを可能にしてくれました。そして次は…目に入った風景のすべてを記録しておきたい…そんなさらなる欲張りの願いを叶えてくれるアイテムをご紹介します。
 

360度を記録するカメラ、リコー・THETA(シータ)S

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このカメラは何とも不思議な形をしています。前と後ろにレンズが1つずつ。ファインダーなどはなく、ただシャッターボタンが前面に配置されているだけで、何ともシンプルです。さて、このカメラで撮影すると、こんな絵が撮れます。
(画像を指(マウス)でタッチ(クリック)しながらグリグリすると見たい方向に動きます)
↓先日訪れた神津島の海岸 
Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA
 
前後それぞれのレンズは「魚眼レンズ」という種類のレンズで、それが前後にあることで、360°すべての方向を一度に1つのファイルに記録してしまおうというのです。何と欲張りなカメラ!!
このカメラは、その場のあらゆる方向を一度に画像、もしくは映像として保存できます。そして、iPhoneなどのスマートフォンやパソコンの専用ソフトを使い、それらを指やマウス等を使って、グリグリと回して見ることができます。また、クラウドサービスのTHETA360というサイトに画像や映像をアップロードすると、このブログのようにインターネットを通して仲間と画像や映像を共有できます。そして、アプリから最近VRに対応したYouTubeに直接投稿することも可能です。
 

利用の可能性は無限大。

このカメラはあらゆるシーンでの活用が考えられます。すぐ思いつくのは、家族や友人との思い出を記録するということでしょう。一方向しか写らない通常のカメラと違って、あらゆる角度を見ることができると、その時の記憶をより鮮明に思い出すことができます。
こんな風に↓(RICOHのサンプルページより)
Birthday Party in Japan - Spherical Image - RICOH THETA
 
次に考えられるのが、ホールなどの建物の構造を記録する時に活用しようというものです。ホールなどのステージは、普通のカメラだとどうしても一部の様子しか記録することが出来ず、会場の雰囲気をうまく伝えることができません。しかしこのカメラを使うことで、まるでそのホールにいるかのように、臨場感たっぷりにすべての方向の様子を伝えることができるのです。実際に建築関係のお仕事をされている方で活用している人がたくさんいるようです。
↓音楽室を撮ってみました!!(少し拡大してグリグリしてみてください)
Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA
 
そして、私の場合、最大の活用目的は風景を撮ること。思い出の場所の景色のすべてを記録しておきたい…その願いを叶えるべく、この夏出かける様々な場所の景色を、このカメラでおさめてきたいと思います。
↓田舎の夕暮れ
Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA
 

 学校での活用シーンは?

これまた未知数ですが、注目すべきはこのカメラが「VRカメラ」とも呼ばれ、記録した画像、映像が、今年が世間に広まる元年だと言われている「VR(ヴァーチャルリアリティ)メガネ」に対応している、ということです。この「VRメガネ」というのは、このメガネを装着することによって、まるでその場所にいるように360°を見渡せるようになる、というものです。このVRメガネ、スマートフォンを装着してVRを作り出す簡易的なものなら、アマゾンなどですでに¥1,500程度から購入することができます。
VRメガネ

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学校では、理科の星空の観察や、社会科で世界遺産などを実際にそこにいるような感覚で眺める、また、世界のどこかの小学校と360°見渡しながら交流、などということも可能となってくるでしょう。音楽では、音楽室にいながらオーケストラの指揮をしたり、演奏者となってプロと共演、などということもできると思います。
 

短所は…自分が映ること。

あえてこのカメラの短所をあげるとすれば、360度撮影できるがゆえに、撮影している自分が映ってしまうということでしょうか…。(意外と恥ずかしい)まぁこれは、三脚などでTHETAを固定し、スマートフォンをリモコンにして撮影すればいいことですが、面倒といえば面倒。持ち方などを工夫したり、「自撮り棒」を活用したりして、自分が映り込むのを最大限に小さくするほかありません。
 

未来を感じるカメラ

このカメラはハード、ソフトともに正直まだ開発途上な部分が多いです。しかしメーカー各社はこぞってこの手のVRカメラの開発を進めており、今後ますます開発、普及が進むでしょう。360度すべての風景を記録し、目の前にあらゆる風景を映し出す…こんなドラえもんの道具のような世界は、もう現実となりつつあります。今後このカメラを使用した実践ができたら、また報告したいと思います。
 

iPadProレビュー。音楽の授業に何をもたらすか②…活用アプリその1

iPadPro(12.9インチ…でかい方)を授業で活用し始めて4ヶ月。だいぶ授業での使い方が見えてきました。…というより、4月からは授業でのマスト・アイテムになっています。(先日の協調学習の授業でも大活躍しました。)このデカiPadをどのように音楽の授業で活かせるのか、使っているアプリを中心にご紹介します。
 

1.教材、楽譜提示

これには2通りの使い方があると思います。一つは教師がピアノ上や譜面台上で使う場合、そしてもう一つは、iPadの画面をテレビに転送し、児童に見せて活用する場合です。様々なアプリを検証してみたのですが、現段階では次の二つのアプリが使いやすいことがわかりました。
 

http://is1.mzstatic.com/image/thumb/Purple69/v4/c0/3f/59/c03f5994-3dc0-f6ac-1ee4-1d770fd8184c/source/60x60bb.jpg  GoodReader4  

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このアプリは、基本はPDFを表示させるアプリなのですが、あまりに高機能ゆえにiosのファイル管理アプリ、と評されるまでになりました。iPad内のファイルをパソコンのマイフォルダのような感覚で管理することができます。このアプリを選んだ最大のポイントは、①PDFへの書き込みができる。②iPadを横向きに置いた場合に2ページ同時に表示することができ、なおかつ、表紙を1ページで表示し、2枚目以降で2ページ同時表示ができる、という点です。他には、DropboxやOneDriveといったクラウドサービスとも容易に連携できるなどの利点もあります。操作がすべて「英語」であることと、PDFへのApplePencilでの書き込み精度があまり良くない、といった弱点もありますが、総合的には現状これが一番のようです。

 
GoodReader…私の活用法
・ピアノ上での教科書、楽譜の表示
・ピアノ上の教科書や楽譜を大型テレビに転送。ApplrPencilで楽譜などに書き込み
・書類、楽譜、映像ファイルの管理
GoodReader - PDF Reader, Annotator and File Manager

GoodReader - PDF Reader, Annotator and File Manager

  • Good.iWare
  • 仕事効率化
  • ¥600

  

http://is5.mzstatic.com/image/thumb/Purple20/v4/6b/d2/20/6bd22013-c1f4-4124-0c27-11c48a274f91/source/60x60bb.jpg GoodNotes

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このアプリは、PDFに注釈などの書き込みやメモを残すためのアプリです。現段階においては、ApplePencilとの相性はこのアプリが最高で、PDFへの書き心地は一番よいです。吹奏楽のフルスコアを約A4の大きさながらも表示・書き込みできるのは感動モノです。
 
GoodNotes…私の活用法
吹奏楽指導でのフルスコアの表示、書き込み。
・他から送られてきたPDFファイルの添削、修正
GoodNotes 4 - メモ&PDF

GoodNotes 4 - メモ&PDF

  • Time Base Technology Limited
  • 仕事効率化
  • ¥960

 

2.教務管理、児童の評価

 
http://is5.mzstatic.com/image/thumb/Purple20/v4/05/93/ae/0593ae91-1267-bd63-ed55-0f823645ec44/source/60x60bb.jpg  iDoceo

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今まで児童の評価を記録するいろいろなアプリを試してきましたが、2016年の現段階では「iDoceo」が最高のアプリです。使いきるのが大変なほど多機能で、日本での評価がまだないのには逆にびっくりです。簡単に言うと①日々の授業記録(録音・録画含む)、②座席表の作成、③座席表の状態での評価記録(ルーブリック評価も可能)、④児童名簿での累積された評価記録の管理・集計、⑤指名ルーレットの作成(!)などができます。このアプリが日本の教育現場に本格的に導入されたら、こういうアプリにウン十万円もの値段をつける日本の企業は壊滅するでしょう。何せ¥1,300ですから。唯一の欠点は英語版しかないところですが、辞書を引きながらでも使うに値するアプリです。このアプリを見つけた時、あまりの感動に何度も「へぇ!」を連発してしまいました。…というわけで、このアプリについては、改めて別に紹介します。

3.録音アプリ

 
http://is2.mzstatic.com/image/thumb/Purple20/v4/2d/80/dc/2d80dc9f-7c0a-db25-4d2f-5bc35d23ca9b/source/60x60bb.jpg  Audioholic ボイスレコーダー・オーディオツール
 
授業中、iDoceoで評価をつけながら録音できるアプリを探したのですが、たぶんこのアプリが最も使い勝手が良いです。良い点としては①最新iPadの目玉機能である、SplitView(アプリの2画面同時使用機能)に対応し、iDoceoを表示しながら使えること。②フォルダー機能があり、ファイルをクラスごとに分けることができ、任意のファイル名(3-1_160607など)を自動でつけられること。③録音のクオリティやファイル形式、録音レベルが調整できること、④Appleクラウドサービス(iCloud)に保存でき、他の端末(iPhone)などと完全に同期できること、が挙げられます。これもいいですよ!
Audioholic  ボイスレコーダーやオーディオツール

Audioholic ボイスレコーダーやオーディオツール

  • iDoceo Labs Ltd.
  • ユーティリティ
  • ¥240

 

まずは普段iPadProで常用しているアプリを挙げてみました。次回は、iPadProを用いるにあたり考えた音楽室のWi-Fi環境について語ってみたいと思います。

音楽科におけるアクティブ・ラーニングのあり方とは?

 

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昨年度より、文部科学省国立教育政策研究所の「学習指導実践研究協力校」に指定され、年に数回、教科調査官である津田正之先生が勤務校にお越しになり、私の授業を見ていただいています。本年度も第1回目の授業が先日行われました。今回私が授業を行う上で考えたのが、音楽科における「アクティブ・ラーニング」とは何か、を探求していこうというものです。「音楽は活動そのものがアクティブ・ラーニングだ!」という声をよく聞くし、私も何となく曖昧にそう思っていたのですが、「では、具体的にどういう場面のことを指すの?」とか「普通の話し合い活動と何が違うの?」という問いには自分自身うまく答えられませんでした。中央教育審議会では次期学習指導要領の改定に向け、「論点整理」などでこのアクティブ・ラーニング(以下、AL)についての考え方がまとめられつつあり、主要教科ではもうすでに多くの検証授業が行われているのですが、音楽、特に小学校の音楽科においてのALの研究は全国的にまだされておらず、議論を深めるためにも、音楽科でも検証授業を行う必要がある、と感じたのです。
 今回取り上げたのは5年生の器楽。教材は「茶色の小びん」です。「茶色の小びん」は4年生の教材なのになぜ?と思われる方もいらっしゃると思いますが、4年生の教材を取り上げることで、曲の難易度を敢えて下げ、楽器の習熟を容易にすることで、音楽的な工夫をしやすくし、協働的な学習を活発にするねらいがあります。そして、今回はALの中で、特に注目されている「協調学習」について、音楽科で協調学習を行うためには、どのような工夫が必要か検証してみました。
 音楽科は実技教科ですので、その主たる活動は「音楽活動」でなければなりません。しかしながら、協調学習の手法をそのまま当てはめようとすると、どうしても言語活動が中心となり、多くの時間を割くことになってしまいます。そこで、音楽科で協調学習を実現するためには、どうしても協調学習を音楽活動と融合させた形にアレンジする必要がありました。
 授業を進める中で強く感じることは、協調学習では、教師が授業の見通しをしっかり持って周到な準備を行うことが求められる、ということです。(児童の主体性に丸投げ、ではダメということです。)現段階では、協調学習は高度な教授テクニックが求められるため、経験の浅い先生方でも取り組めるよう、これからさらに研究が進められ、汎用化される必要性を感じます。しかしながら、たった1度の授業の中でも明らかに児童の学びの深まりを実感することができるこの手法は、教師の努力が報われる実感が持てるものであるとも言えます。
 今後もさらにこの音楽科におけるALのあり方の研究を進めていきます。この研究を通し、微力ながら次の時代の音楽科教育を創造する一翼を担えればと考えています。音楽科におけるALについて、何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、御連絡いただければ幸いです。

教育音楽小学版「教材料理法」連載始まりました

 

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音楽之友社より、雑誌『教育音楽小学版』の連載記事「私の教材料理法」の1年生の部分の記事の執筆を依頼され、4月から連載を始めています。まだまだ実践が足りない中なので、何とか捻り出して書いている感じです。今まで単発で記事を描いたことはあるのですが、連載は初めてで、毎月あっという間に締め切りが来るのでヒヤヒヤしています…。ぜひお手にとってお読みいただき、ご批評いただければ嬉しいです。次回6月号は、例の「かたつむり」です(!)

iPadProレビュー。音楽の授業に何をもたらすか①

最大サイズのiPad購入!

 年末にとうとうiPadProを購入してしまいました。(人柱ここに極まれり…)タブレットの学校現場での積極的な活用が進んでいる昨今、私も今までiPadを普通のサイズ、そしてminiと使ってきたのですが、音楽の授業での最大の使用用途である「楽譜」の表示には今ひとつサイズが足りず、授業中に用いる使い方がありませんでした。(いろいろ試してはみたものの、最終的にノートパソコンの方が手っ取り早い、という結論に達していたのです。また、児童の使用に関しては、行政がまだ二の足を踏んでいて導入が進んでいない状態です。)
 しかし、このiPadProのサイズはA4よりも大きなサイズ。吹奏楽のフルスコアを表示させても、見開き2ページを表示してピアノの譜面台の上に置いても十分視認性に耐えうるものになりました。このデバイスが、どう授業に活用できるか、これから様々な切り口からじっくり考えてみたいと思います。まずは、本体のレビューから。

で、でかい。そして薄い…。

 初めてiPadProを見た時の印象は、「で、でかい…」というものでした。しかし、その薄さはiPhone6とほぼ変わらないもので、「これは折れたりしないのだろうか…」と本気で思うほどでした。重さは約750グラムで、今までのIPadに比べればズシッときますが、持っていて耐えられない重さではありませんでした。
 
↓本体と付属物。相変わらずシンプル。Lightningケーブルは長いものでした。

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私は楽譜を広く見せるために白を選びました。容量は128GB。持っている音楽のライブラリやデータを入れることを考えるとこれくらい必要になります。また、学校内、特に音楽室内での使用が通常なので、Wi-Fiモデルを選びました。また、学校での使用が中心ということで、落下等の事故の場合に備えて、AppleCare+(Appleの純正拡大保証みたいなもの)に加入。これで2年間はとりあえず安心です。
しかし、さすがに素のままで使う勇気がないのでカバーを購入。こちらは取りあえずAmazonで一番安くて評価がいいものを選びました。これが結構良くて、純正品と違いが感じられません。
 
↓ApplePencil用にフォルダーをつけてみました。リンゴマークはファンの証?!

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 ↓iPadProでできる大きな特徴の一つに画面を半分に分けて違うアプリを表示できる、
「Spritview(スプリットビュー)」があります。これは便利!

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↓早速音楽室のピアノに置いてみました。

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↓続いて吹奏楽の指導で使っている譜面台の上

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実用に耐えうる画面サイズ

IPadProを横向きにおいての見開き表示では若干小さいかな、と思いますが、決して小さくて見えない大きさではありません。(ほぼA4の大きさです。)また縦置きでの1枚表示では、吹奏楽のスコアでも十分見ることができます。しかもピンチ・アウトで拡大表示ができるのは、紙の楽譜とは違うよさでもあります。
ただ、いずれにせよ2枚以上の楽譜を表示する場合、頻繁に譜めくりをする必要があるのは少々面倒くさいです。
楽譜をコピーしたり、製本したり、重たい楽譜をいくつも持ち歩いたりしなければならない紙の楽譜の弱点と、上のようなこの端末の弱点を天秤にかけると果たしてどちらが効率的なのでしょうか。

iPadProには必須の「ApplePencil」

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↑こちらは、大変品薄でわざわざ渋谷のAppleストアまで行って購入したiPadPro専用のAppleご謹製のスタイラスペン、その名も「ApplePencil」。本来は絵描き用らしいのですが、活用の可能性を考えて購入してみました。
 
このiPadProは今までのiPadとは違って、授業の中で活用するための大きな可能性を秘めていると感じます。次回は、IPadProを音楽の授業などで使う上で有効なアプリケーションについて検証してみたいと思います。