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TAKAHIRO KONASHI official blog

Apple Watch…さて、どう育つか。

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AppleがAppleWatchという未知の可能性のモノを出して半年が経ちました。気がつけば自分の腕に着いており(汗)…。

iPhoneの時もそうでした。「これでいったい何ができるの?」「まだまだ製品としてこなれていないよ」「きっと買わないね」なんて言っておいて、発売日を過ぎ、気がついたら自分の携帯電話がiPhoneになってました…。

そもそもAppleWatchのようないわゆる「ウェアラブル端末」は今までもありました。しかし、一部の精通した方々がその存在を知っているだけで、一般の方にはあまり知られていませんでした。…で、ここがAppleのすごいところなのですが、そのブランド力を背景にあっという間にその存在を世界に知らせしめ、(性能は他社製とほとんど変わらないぐらいなのに)パイオニアのごとく振る舞う…他社製品もすべてをAppleWatchにしてしまうのです。(これがAppleの嫌いなところだ、という人もいるようですが…)

それで半年間着けてみての今のところの感想ですが、良い所、まだの所を、小学校教師が使う、という観点も交えながらまとめてみました。

<良い所>

  • 手首であらゆる情報が収集できる。(時刻、天気、メール、予定、やること、ニュース等)
  • 自分の健康管理に役立つ情報が集まる。(歩数、消費カロリー、階段を登った階数、心拍数等)
  • 移動する時に便利(ナビゲート機能、乗り換えの際に次の電車は後何分後出発、なんてことを知らせてくれる)
  • (まだ完璧ではないが)授業の時間配分などを設定して通知してもらえそう

<まだの所>

  • バッテリーが持って2日間(これは時計として考えるとあり得ない)
  • サイズが大きいのは視認性のためやむなしとして、厚さが太い。
  • 値段が高い。(実際はそんなでもないのだが、円高の影響をモロに受けている)
  • 対応アプリがまだ少ない。
  • 子供達の目に止まりやすく、着けていると目がそっちへ行ってしまう。

…と言ったところでしょうか。はっきり言って、教育現場での活用については未だに未知数です。まだ発売されたばかりで、これからどんどん性能が良くなっていったり、面白いアプリが開発させていくのだと思いますが、今はまだ使えなくても、製品がだんだん育っていく…そんなワクワク感があります。AppleWatchの面白い活用方法や役立つ機能、アプリを見つけたら、紹介していきたいと思います。

 

「どこでも音楽室」の作り方

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子どもたちがおうちで歌やリコーダーなどを練習する時、伴奏の音源があったほうがいいですよね。でも、全員にCDを配るのは大変だし…。そこで、学校で配布する楽譜にYouTubeへのリンクをはったQRコードをつけ、おうちのお父さん、お母さんがもっているであろう「スマートフォン」などのQRコード読み取り機能を使い、自宅をはじめどこでも教師の演奏を聴きながら練習できる「どこでも音楽室」のシステムを考えてみました。

<必要なもの>

YouTube(Google)のアカウント、ボイスレコーダー、パソコン、音声と合成する画像(フリー素材等…※無くてもできます)

<下準備>

Googleのアカウントを取り、YouTubeにログインできるようにする(YouTubeGoogleの子会社です)

<さあ、やってみよう>

⑴自分の演奏をボイスレコーダー等で録音する。(形式:Mp3)

 

⑵音源をパソコンに保存し、いらない部分をAudacityなどの音声加工ソフトで編集する。(必要に応じて)

 

⑶インターネット・エクスプローラー等のブラウザで次のサイトにアクセスし、YouTubeへ載せるためのタイトルをつけ、用意した音声ファイルと、画像ファイルをアップロードする。(要YouTubeアカウント)※後の調べで画像は無くてもできることがわかりました!)

  

 「tunes to tube」 http://www.tunestotube.com

 

⑷インターネット・エクスプローラー等のブラウザでYouTubeを開き、「マイチャンネル」で曲がアップロードされているかを確認。曲のページを開き聴けるかをチェックする。

 ①「動画の管理」からアップした曲を選び、「編集」タブの「情報と設定」の項目で公開方法を「限定公開」にする。

 ②ブラウザのアドレスタブから、曲のページのアドレスをコピーする。

 

⑸インターネット・エクスプローラー等のブラウザでQR作成ページにアクセス。

 

 「QRのススメ」 http://qr.quel.jp

 

 ①画面中央の「さっそく作る」をクリック

 ②QRコードでURL(http://〜)の項目の「作る」をクリック。

 ③先ほどYouTubeにアップした曲のアドレスを「URL」の項目にコピーし、「OK」を押す。

 ④できたQRコードをパソコンに保存する。(画像ファイルとして保存されます。)

 

⑹パソコンに保存したQRコードの画像を楽譜に貼り付ければ、出来上がり。

 

<くれぐれも気をつけて>

YouTubeJASRAC日本音楽著作権協会)と許諾契約を結んでおり、自分で演奏したり、パソコンの楽譜ソフトなどで作ったりした音源についてのみYouTubeにアップロードすることが許されています。買ってきたCDやインターネット上の音源をアップすることは著作権法違反になりますので、気をつけましょう。

デジタル機器でスケジュール管理

みなさんはスケジュールを何で管理していますか?私は数年前から、現在〜未来の予定についてはすべて(授業計画も含め)デジタル機器で管理するようになりました。アナログな手帳も味わい深いのですが、ただ単純に、せっかくスマートフォンタブレットを持っているのにこの便利な機能を使わない手はない、と思うからです。まあ、正直めんどくさがり屋なんですね、たぶん。
では、どのように予定を管理しているかですが、まずは私がパソコンで記録しているカレンダーを御覧ください。

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このカレンダーはMacのカレンダーアプリ「BusyCal」で表示させている、週の予定表です。ご覧になれば分かりますが、自分の行動区分(校内、校外、授業、クラブ、家族、自分…)ごとに色分けして予定を表示させています。この色分けを行うことによって、日々自分が何の目的のために、どう行動すべきかが把握しやすくなっています。
(※ぼかしているところは、授業の題材名や学校名、家族の名前が入っているところです。)
 
校内(紫色)   …校内で行われるイベントで教科や部活動以外のもの
校外(オレンジ色)…校外で行われるイベントで、出張をする(予定のある)もの
音楽科(青色)  …校内で行われる音楽科全体に関わるイベント
授業(空色)   …授業の計画
クラブ(緑色)  …校内で行われる部活動のイベント
家族(ピンク)  …家族全体に関わるイベント(旅行、息子たちの参観日…等)
自分(肌色)   …自分の趣味や飲み会など個人的なイベント
神職(茶色)   …神社のイベント
その他(ねずみ色)…雑誌の発売日やパソコンの購入記録など
 
また、右側には、今後しなければならない、様々なタスク(=やること)が表示されており、これもすべての端末で同期されており、「完了」のチェックを入れると、各端末から自動的に消えます。
 
この予定表は、自宅のMac以外にApple社のiCloud(アイ・クラウド)というクラウドサービスによって、所有するすべてのパソコン、タブレットスマートフォンで同期されており、どの端末からもいつでも確認することができます。(無料!)ちなみにこのような同期は何もApple社のiCloudでなくても、Googleのカレンダーでも同じようなことができます。
 

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ちなみにiPhoneで表示させるとこんなかんじです↓(使用アプリ:さいすけ)
 

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このスケジュール管理の良い所は…
 
①予定の修正やコピー&ペーストによるイベントの複製が簡単にできること。
②通知機能によって、予定ややることリストの時間を音やメールなどで知らせてくれること。
③週だけでなく、日や月や年という様々な区切りで予定を俯瞰できること。
 
…などが挙げられます。逆に私が考える中での、このカレンダーのマイナス点は、
 
①手帳のようなハンドメイドの温かさがない。
クラウドを噛ませるので、仕事上の個人情報は記載できない。
③手帳のような一覧性はないので、何か思い出すためにさっと予定を見つけることができない
 
…などが挙げられると思います。まあ、自分が使っている範囲では、後半のことは、あまり苦に感じたことがないので、この方法をとっています。デジタル機器でスケジュール管理、いかがでしょうか?
 
 

伊勢神宮参拝記

少し前のことですが、昨年11月に伊勢神宮に行ったことを書き留めておきます。

私は3年前の2012年に神職の資格を取ったのですが、お恥ずかしながら今まで神宮(=三重県伊勢市にある伊勢神宮のこと)に行ったことがありませんでした。日本の神々の頂点に君臨し、天皇家の祖先とされる天照大御神を祀ったこの神宮は、我々神道に関わるものとしては聖地中の聖地であり、近いうちに必ず訪れようと思っていました。奇しくも、一昨年は20年に一度行われる「式年遷宮」と呼ばれる、神様のお住まいの建物を総取っ替えするお祭りがあり、行かなければと思っていたのですが、機会を逃してしまっておりました。今回ようやく念願かなって、「お伊勢参り」をすることができました。

1日目 二見浦〜外宮

今回は古来より行われてきた、伊勢神宮に参拝する際の正式なルートをできるだけ辿ることにしました。

まずはじめに伊勢市内から鉄道で約15分のところにある、二見浦という海岸で、禊をしました(本来は海に入るのですが、さすがに…というわけで海水で手を洗ってきました。↓

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JR伊勢市駅に到着。最近建てなおされたモダンな建物です。↓

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神宮をお参りする際に必ず守らなければならないのは、2つあるお宮のうち、「外宮」から「内宮」の順にお参りすること。先ず1日目は食の神、豊受大神をお祀りする外宮から参拝。気を引き締めてお参りします。外宮の正宮(しょうぐう…神様のお住まい)では、一般の参拝客が入ることができない前庭に案内され、正式参拝をしました。ピーンと張り詰めた空気の中で緊張しました…。↓

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ここが一昨年まで正宮があった場所。20年に一度建物を立て替えるのですが、場所ごと移動するため神様に不便な思いをさせることがありません。↓

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途中三ツ石と呼ばれる石の周りでおばちゃんたちが手をかざしていました。パワースポットらしいです…。↓

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外宮に来て、聞いてはいたもののやはり驚いたのは、神宮自体が大きな「森」であるということです。正宮の建物自体は、決してきらびやかなものとは言えません。むしろ質素で、「えっ?これが日本の神社の頂点に立つ神様の住む建物?」と思ってしまう程です。神宮に来て、日本人が自然そのものを神ととらえ、畏敬の念を持って暮らしてきたかがよくわかりました。

<せっかくなので…>

伊勢まで来たのですもの、ここでしか食べられないものを食べなきゃ…というわけでいろいろ探した結果、な何と、伊勢には有名なB級グルメ「からあげ丼」なるものがあるとのこと。行って食べてきました。伊勢市駅からほど近い、近鉄宇治山田駅のそばにある、その名もまんぷく食堂さんです。↓

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親子丼の唐揚げバージョン、みたいな感じ。う、美味い…。

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「音楽室PC授業システム」アップデート

今勤務する学校に異動して、授業で必要な様々なメディアをPCで一括に管理し、授業の効率化を図る取り組みを進めてきましたが、先日ASUSのUSBディスプレイ「MB168B」を購入したことで少し進化したのでご紹介します。

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ピアノの楽譜立てにUSBディスプレイ

 

f:id:koppaman:20140608204524j:plain前回紹介したASUSの「MB168B」をピアノの楽譜立てに置き、PC上の楽譜PDFファイルをAcrobatで表示させるようにしてみました。(15.1インチはやや狭いものの)ピアノの楽譜立てでPC内の楽譜ファイルを表示できることはやはりとても快適です。ディスプレイの前にスペースがあるので、普通の楽譜や本もディスプレイの前に置くことができます。

譜めくりをどうするか

しかし、ここで問題となるのは、「譜めくり」をどうするかです。普通の楽譜と同じように、ディスプレイ上を撫でて譜めくりができるのが一番なのでしょうが、現在安価で大型のタッチパネルのディスプレイはほとんど存在しません。(おそらく、このような特殊な使い方以外需要がないのだと思います。)また、楽譜の譜めくりは音楽が止まらないように一瞬の間に、しかも確実に行わなければなりません。この条件には、CPUやGPUの性能に依存するタッチパネルのディスプレイにはまだ不安な部分があり、他の方法を模索していました。

USBフットスイッチ

 

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ややレアなものですが、USBで繋いで使用する「フットスイッチ」なるものがあります。このフットスイッチに、専用ソフトでキーボードの「←」や「→」を記憶させ、足で踏んで譜めくりする方法を考えました。しかし、よくよく考えてみると、ピアノの下にはサスティンやダンパー・ペダルがあり、それらと干渉してしまいます。踏み込む場所を下を見て確認しなければならず、これは非効率なのかな、と感じました。

 

ペンタブレット

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そこで考えたのが、やや邪道のような気もしますが、ペンタブレットを使う、という手でした。これはワコムから出ているペンタブレットで普通はイラストなどを描くために使うものなのですが、タブレット機能を使うのではなく、タブレット部分の脇に一緒に付いているボタンを利用する、というものです。このボタンには、専用ソフト上でキーボードのキーやソフトのショートカットを自由に割り付けできます。これを利用し、「←」や「→」のキーや、「最初に戻る」や「ウィンドウを閉じる」といったショートカットを割り付けました。このタブレットをピアノの楽譜立てのディスプレイの脇に置き、すぐに手で操作できるようにしてみました。結果は…今のところ誤動作もなく、気持よく譜めくりができています。今のところ、これが手軽に電子楽譜化を実現する最良の方法なのかな、と自分なりに考えています。しかし残念ながら写真に映っているペンタブレットは古いもので販売停止となっており、最新のものにはこのボタンが付いていません…。オークションにはまだ中古が出回っているようなので、もし本気でやってみたいという方がいたら、ぜひ探してみてください。

 

他にもっといいアイデアがあるのでは…

自分なりに考えて、こういったシステムを考えてみてはいるのですが、自分のPCはMac環境ですし、Window機材やAndroidタブレット等を使って行うもっとよい方法があるのやもしれません。もし実践されている方や、情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ御連絡ください。 

さあ、どう使うか…ASUS「MB168B」レビュー

インターネットを見ていると、たまに「ムムッ、これは!」という具合に、一気に購入意欲を掻き立てたれ、いわゆる「衝動買い」に結びついてしまうものがあります。そういうあまり考えずに買うものには、あたりなものより、ハズレなものであることが多いのですが、今回の買い物は、その可能性ゆえにまだ自分で結論を出せずにいる、という代物です。

今日レビューするのは、AsusのUSBディスプレイ、「MB-168B」なるものです。

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このディスプレイ、私が何に惹かれたかというと、

・15.1インチとある程度の大きさがある。

・世界最薄である。(8ミリ)

・USBだけで動く。

・ケースが付いており、持ち運びが容易である。

・何よりスタイリッシュである。

…な点にであります。

 

そしてどんなことに使えるかを考えた結果…

・ピアノの上において楽譜を表示できないか。

・小さな会議で、プレゼンするときに活用できないか。

・MacBookAirの小さな画面を補うものとして使えないか。

…などという理由が勝手に浮かび、めでたく御購入に相成りました…。

 

私が選んだのは、MB-168Bの標準モデルで、量販店で¥18,000程度でした。標準モデルは画面がWXGAの解像度で、上位モデルはFullHDの「MB-168B+」なるものがあるのですが、3万近くするので、そこまでの解像度は必要としないため標準モデルを選びました。

↓専用のカバー兼スタンド

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↓横から見るとかなり薄い。

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購入してわかったこと

私は普通何かを買い求めるときには、ネット上のレビューをしっかり見て決めるのですが、このモデルは3月に発売したばかりでレビューが少なく、しかも元来Windows用で、Macでの使用については、メーカーの「使用可能」という文言を信じるのみでした。実際買ってみて、やはりMac環境ではやや使用に制限があることがわかりました。(や、やはり…_| ̄|○)もちろんWindows環境では普通に使えます…。

MacOSでの制限事項>

・付属のドライバーでは、照度の調節ができない。

→本体の側面に付いている照度調節ボタンは作動しません。

・表示できないソフトがある。

→詳しいことはよくわかりませんが、OpenGLに関わるソフト(プレゼンソフトのKeynoteや映像再生ソフトのMPlayerなどは、再生する画面が表示されません。しかしながら、PowerpointQuicktime、Movistといった同じ用途の別なソフトでは、普通に再生できます。

また、制限事項ではないのですが、このディスプレイはドライバに「DisplayLink」という別の会社が作っているものを採用しており、付属のCDに入っているものよりもバージョンが新しいものがHPで公開されており、そちらを入れることで、一部不具合が解消されます。(さらにソフト面で改良が加えられ、上記の制限事項も無くなることを祈るばかりです…) 

まあ、いろいろ難もあるのですが、画面が増えることの便利さや可搬性の良さなど、それらを凌駕するポテンシャルを持っており、いろいろと活用方法を検討しいます。特に学校のピアノの上に置き、楽譜代わりに使用できるかもしれないことには大いに期待しています。この実践報告は、また次回にご紹介します!

 

学校でなぜ音楽が必要なのか

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「学校でなぜ音楽が必要なのですか?」

誰かにこう質問されたら、どう答えたらよいでしょうか。
音楽を学校教育で教える理由…思えば自分も今まで明確な答えを持ってこなかったような気がします。絶対的な必要性を感じ、強い思いを抱きつつも、その理由をあえて言葉にして述べる機会を持ちませんでした。しかし最近、このことを強く意識するようになってきました。
 
教師として経験を積んでいくと、時代の要請による様々な教育改革により、教科の「軽重」を目の当たりにすることになります。
 
応用力が足りん、となれば総合的な学習の時間ができ…。
子どもが忙しいのが悪いんだ、となればゆとり教育により各教科の時間数が減り…。
国際的な成績が悪くなり、勉強が足りん、となれば主要教科の時間が増え…。
 
私は、この十数年の間、こうした流れの中である意味“翻弄”される現場に身をおいてきました。「教科」というものがいかに社会の風潮の影響を受けやすいものであるかを肌で感じてきたのです。そして、「音楽」という教科が、社会の風潮に耐え、これからいつまでも学校で教える教科として存在し続けるためには、現場の教師が、音楽という教科の必要性をしっかり認識し、論理的に主張できなければならない。…そう強く感じるようになってきたのです。
 
そんな中、雑誌「教育音楽小学版」の4月号のある記事が目に止まりました。
学生時代に音楽教育学でお世話になった坪能由紀子先生と、東京芸大名誉教授の山本文茂先生が「音楽教育の未来への提言」というタイトルで対談されていたのですが、山本先生が話されていた、「教育的な価値としての音楽の特質」が、とても整理されていて、なるほどな!と思ったので、先生のお考えを、自分なりに咀嚼し書き記しておきたいと思います。
 

<教育的な価値としての音楽の特質=学校でなぜ音楽が必要なのか?>

①感動体験が「共有」できる教科である。

→感動することは人それぞれ違うが、複数の人が集まるとその感動体験が「共有」され、増幅される。
 

②知性と感性の融合した教科である。

→「頭」と「心」を使う学問としては、音楽が一番わかりやすい。
 

③意思と集中力を必要とする教科である。

→演奏しよう、という意思を持ったら、ある時間集中しなければならない。集中力を磨くのに適している。
 

④人間感情の純化に適した教科である。

→人間が本来持っている「美しいものを追い求める」という感情に応えるのにふさわしい学問である。
 

⑤現実認識の方法を学ぶ教科である。

→音楽は人と人とが現実を認識するために言葉以外で行うコミュニケーションツールである。
 
これらは、一生のうちで若いうちに集団の中にあってこそ大きな価値を見いだせるものです。その人のその後の人生にどれだけ大きな影響を与えるか計り知れません。
これこそが、多くの仲間が集う学校で「音楽」が教科として取り上げられる理由だと私も思いますが、他にもまだ理由があるのかもしれません。これからも音楽の教師を続ける限り、模索していきたいと思っています。