音故知新 on-ko-chi-shin

TAKAHIRO KONASHI official blog

楽器たちを労ろうとする心

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明けましておめでとうございます。今年も微力ながら、このブログが少しでも世の中の誰かのお役に立てるよう、微速前進してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、音楽室に置いてある楽器は、そのまま野ざらしで保管しておくと、日があたったりして楽器に影響を与えるだけでなく、必ず子供達の目につくものです。いたずらっ子は特に楽器には触って音を出したくなるもの。それを防ぐ究極かつ一番簡単な防止法は「カバーをして楽器の打面を見えなくすること」です。これをするとよっぽどのことがない限り、音が出ることがなくなります。
 私はこれを着任当初、楽器の音が出ず、授業の妨げになるような余計な音を出さないための工夫として始めました。授業規律が定着していない状況では、うっかりカバーをしていないと、授業中でも歩き出して触ろうとする子さえいたのです。子供達に「何でカバーをしているの?」と聞かれると、その答えとして「楽器を休ませてあげているんだよ」と答えていました。そんな答えが6年たった今では子供達の間にすっかり定着し、子供達が自らカバーをかけてあげるまでになりました。低学年のうちから、先生は楽器をとても大切にしている、だから演奏した後に、まるでお布団をかけてあげるかのように楽器たちを休ませているんだ、ということを話しかけていくうちに、自然と楽器に触ったり、むやみな音を出したりする子がいなくなってきたように感じます。美しい音色を奏でる楽器への憧れや労りの心、そういう優しい心を持った子供達が育ってきたことを、今、音楽に携わる教師として、とてもうれしく感じています。

↓子ども達の譜面台の置き方もこの通り。「何と芸術的!」と褒めちぎります。

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