音故知新 on-ko-chi-shin

TAKAHIRO KONASHI official blog

授業のスピード感

私が授業で常に心がけていることの一つに「授業のスピード感を守つ」がある。これは音を扱う学びである音楽の授業では非常に重要であり、授業の規律を整えるという意味においても必要不可欠な条件であると考えるのだ。私がICTを研究し、最新の機器をリサーチしているのは、主にこの授業のスピード感にいかにそれらの機器が役立つかを考えているからなのである。

私は以前、こんな授業を見たことがある。それは、ある大きな音楽教育の研究会の研究授業でのことだ。何十人もの見学者が見守る授業の途中、子どもたちの演奏を録音したものを聴いてみようとした時だった。ー向に機器から音が鳴らない。この聴き合いが、この授業の重要なターニングポイントとなる筈だったために慌てる授業者、そして、ざわつき始める子どもたち…。それから後の展開がどうなったかは言うまでもない。見学者が皆、「やっちまった、可哀想に…」と思った出来事だった。授業者としては悔んでも悔みきれなかったであろう。

では、何がいけなかったのか。私はそれを調子の悪かった機器のせいにするのはプロ意識に欠けると思っている。子どもたちにとって、授業は一生に一度きりの大切な経験だ。教師側の都合で授業が止まり、学習効果が薄れてしまうことほど悲しいことはない。ましてやこのような大舞台での授業では、このような事態に備えてバックアップの機器を用意しておくべきだった。授業の内容を吟味することと同時に、このような機器を活用するのであれば、あらゆる事態を想定して準備をすべきなのである。

そして、もう1つ。子どもたちからしてみれば、教師がこのように機器の操作にまごついている時間は、絶好のおしゃべりタイムになるということである。余程訓練された子どもたちでなければ、黙っていることは困難であり、「しゃべるなー!!」と怒鳴ることになる負のスパイラルに陥るのだ。授業にスピード感をつけることは子どもたちに隙を与えず、適度な緊張感を生み、授業を成功に導く重要なカギとなるのだ。

そんなわけでこのブログでは、私が授業のスピード感を守つために機器を活用するにあたり、心がけていることを書き記しておこうと思う。
 
↓現在の音楽室のピアノ周り。

f:id:koppaman:20110720094149j:image