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TAKAHIRO KONASHI official blog

音楽科におけるアクティブ・ラーニングのあり方とは?

 

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昨年度より、文部科学省国立教育政策研究所の「学習指導実践研究協力校」に指定され、年に数回、教科調査官である津田正之先生が勤務校にお越しになり、私の授業を見ていただいています。本年度も第1回目の授業が先日行われました。今回私が授業を行う上で考えたのが、音楽科における「アクティブ・ラーニング」とは何か、を探求していこうというものです。「音楽は活動そのものがアクティブ・ラーニングだ!」という声をよく聞くし、私も何となく曖昧にそう思っていたのですが、「では、具体的にどういう場面のことを指すの?」とか「普通の話し合い活動と何が違うの?」という問いには自分自身うまく答えられませんでした。中央教育審議会では次期学習指導要領の改定に向け、「論点整理」などでこのアクティブ・ラーニング(以下、AL)についての考え方がまとめられつつあり、主要教科ではもうすでに多くの検証授業が行われているのですが、音楽、特に小学校の音楽科においてのALの研究は全国的にまだされておらず、議論を深めるためにも、音楽科でも検証授業を行う必要がある、と感じたのです。
 今回取り上げたのは5年生の器楽。教材は「茶色の小びん」です。「茶色の小びん」は4年生の教材なのになぜ?と思われる方もいらっしゃると思いますが、4年生の教材を取り上げることで、曲の難易度を敢えて下げ、楽器の習熟を容易にすることで、音楽的な工夫をしやすくし、協働的な学習を活発にするねらいがあります。そして、今回はALの中で、特に注目されている「協調学習」について、音楽科で協調学習を行うためには、どのような工夫が必要か検証してみました。
 音楽科は実技教科ですので、その主たる活動は「音楽活動」でなければなりません。しかしながら、協調学習の手法をそのまま当てはめようとすると、どうしても言語活動が中心となり、多くの時間を割くことになってしまいます。そこで、音楽科で協調学習を実現するためには、どうしても協調学習を音楽活動と融合させた形にアレンジする必要がありました。
 授業を進める中で強く感じることは、協調学習では、教師が授業の見通しをしっかり持って周到な準備を行うことが求められる、ということです。(児童の主体性に丸投げ、ではダメということです。)現段階では、協調学習は高度な教授テクニックが求められるため、経験の浅い先生方でも取り組めるよう、これからさらに研究が進められ、汎用化される必要性を感じます。しかしながら、たった1度の授業の中でも明らかに児童の学びの深まりを実感することができるこの手法は、教師の努力が報われる実感が持てるものであるとも言えます。
 今後もさらにこの音楽科におけるALのあり方の研究を進めていきます。この研究を通し、微力ながら次の時代の音楽科教育を創造する一翼を担えればと考えています。音楽科におけるALについて、何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、御連絡いただければ幸いです。