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次世代の音楽の授業を模索して④…タブレットを使った鑑賞「木星」の授業の創造その3

10月から先週にかけて、校内音楽会に向けた準備等でず~っと時間がなく、なかなか更新できませんでした…。
(今年の校内音楽会の様子は別にお話ししたいと思います。)
 
木星」実践の続きです。
今回は実際に行った「木星」の授業についてお話ししたいと思います。
まず、題材の大きな流れとして、次のような内容で3時間扱いとしました。
 
<第1時>
木星の中間部(究極のメロディーM)の色々なアレンジの演奏を聴き、自分の心に一番心に響く演奏を探す。
②同じ演奏を選んだ者同士で、選んだ演奏の良さについて話し合い、学級で良さを共有する。
Windowsタブレット25台&作成htmlページ)
 
<第2時>
①究極のメロディーMが「木星」というオーケストラの楽曲の一部であることを知る。
②原曲で、どの位置に各主題が配置されれば、究極のメロディーMを際だたせることができるか演奏順序を個人で考え、ホルストの意図にせまる。
Windowsタブレット25台&作成htmlページ)
 
<第3時>
①「木星」の各主題の演奏順序を、個人の考えを元に、グループで話し合いながら再構成してみる。
②原曲を聴き、ホルストの意図(三部形式、Mは中間部…等)を知る。
ホルストの思いや意図に触れて感じたこと、考えたことを個人でまとめる。
iPad6台&「ロイロノート」)
 

第1時「究極のメロディーM」のいろいろな演奏を聴こう

 
まずはじめに、「究極のメロデイーM」の楽譜を大型テレビに映し、教師がテナーリコーダーで演奏しました。演奏した後、温かい拍手(…こういうところが本校の児童の可愛いところです)児童からは、「これ聴いたことある!」や「知らないなぁ〜」など様々な反応。たくさんのミュージシャンがこのメロディーの魅力に惹かれ、演奏していることを紹介し、今日はそんないろいろな「究極のメロディーM」の演奏から、自分の心に一番響いたのはどれかを考えてもらうと話しました。
そして、いよいよタブレットの登場です。前々回でご紹介した、いろいろな演奏が聴ける木星のhtmlページを立ち上げ、子どもたちは、持参したヘッドフォンを装着し、自分のペースで用意した8曲の「木星」の演奏を聴いていきます。
 
ちなみに、用意した8曲の演奏は以下のとおりです。
 
①女声の独唱(平原綾香
②ピアノ2重奏
④パイプオルガン
金管アンサンブル
⑥オルゴール
⑧ポップバイオリン(葉加瀬太郎
 
8曲それぞれについて感じたことをワークシートにメモし、自分の心に響いた順に◎◯△をつけていきます。
(音楽室はシ〜ン、としていますが、みんな音楽活動しています。)

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自分の心に一番響いた演奏◎を選んだら、なぜそう思ったのか、「音楽の素」をたよりに考えてみます。
(例:温かい感じがした…関連する音楽の素→音色、発音など)

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↓同じ演奏を選んだ者同士が集まり、良さについて意見を共有します。
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本当は次に、一緒になったグループから、自分たちの選んだ演奏の良さについてコマーシャルをしてもらうつもりだったのですが、時間切れでいくつかのグループに良さを発表してもらうだけで終わりになってしまいました。この部分の活動だけを膨らませても、十分面白いとは思います。
 
次回は「木星」第2時、第3時の授業の様子です。
(教育音楽12月号に続きが掲載されていますのでよろしければ御覧ください)

教育音楽小学版12月号「ICT実践特集」発売

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以前御紹介しましたが、9月に教育音楽小学版の編集部の方が本校にお見えになり、ICTの実践についての取材を受けました。その時お話したことが、11月18日発売の12月号に掲載されております。

ICT機器を効果的に活用すると、もっともっと音楽の授業は素敵になる筈なのに、様々な理由からなかなか進まない現状があります。

アクティブラーニング、授業のユニバーサルデザイン化など、これからの学校教育のキーワードを語る上で、ICT機器の活用は共通したトリガーであり、音楽科でも積極的な活用が求められていきます。

私や他のお二人の実践が、少しでも音楽の先生方のICT機器活用の参考となれば幸いです。

(記事の中の、タブレットを活用した「木星」の鑑賞の授業実践については、本ブログでも連載で御紹介しています。) 

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日本音楽教育学会で学ぶ

ここ2〜3年自分がやってきていることの中で、「実践をどのようにまとめ、広く伝えられるものにするか」は大きな課題の一つです。自分は大学時代、卒業時に書いたのは「卒業論文」ではなく、吹奏楽曲を作曲する、という「卒業演奏」でしたので、「論文」をまともに書いたことがありません。しかし、実践をまとめるたびに論文の書くテクニックを知る必要性を感じており、音楽教育に関わる論文の書き方を学ぶ、また、他の音楽教育に関わる諸実践からさらに多くの学びを得るために、「日本音楽教育学会」に入会し、研鑽することにしました。10/8から二日間、その全国大会が横浜国立大学で行われましたので、参加してきました。
 
 横浜駅からバスで15分位で横浜国大に到着。キャンパスは山の上にありました。

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今年の学会のテーマは「ミュージキング:原点からの音楽教育」というもの。各地の音楽教育研究者たちの研究発表が100近くあり、参加者は自分の興味のある研究発表を渡り歩き聴いていきます。また、音楽教育関連の大学院の院生たちによる研究フォーラムがあり、熱心に自分の研究の成果を発表していました。
ちなみに、私が聴いた研究発表のテーマは次のとおりです。
 
①音楽科教育における二項対立的問題についての考察
②小学校音楽科への知識構成型ジグソー法の導入
③小学校6年間を通した日本音楽の学習
④アクティブ・ラーニングによる身体的表現活動の試み
変声期男子が快適に歌える合唱指導法と教材開発に関する研究
 

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基調講演はニューヨーク大学のディビットエリオット教授による「プロフェッショナルな音楽教育者であること」、記念演奏は鼓楽三番叟でした。
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残念ながら、2日間ある学会のうち1日目しか参加できなかったのですが、音楽教育をしっかりアカデミックにとらえているそれぞれの研究発表は、同じように実践研究を行っている私にとって、とてもエキサイティングなものでした。確かに、発表の中には机上の空論的なものや、「はぁ?何いってんの??」的なものもありましたが、発表しようという気持ちだけでも立派ですし、音楽教育に対して情熱をもって取り組んでいることは十分賞賛に値すると感じました。
ただ、気になったのは、会場にいるのは明らかに大学の先生らしき人と学生さんばかりで、学校現場の教師らしき人の姿があまり見られなかったことです。現場の生の声を伝えていくことは、このような研究団体にとって、机上の空論に陥らないためにもとても重要なのではないかと思います。明日の音楽教育を支える若い学生さん達のためにも、もっともっと先生方はこのような会に足を運び、現場の様子を伝えるべきだな、と感じました。

 

 

「禊」(みそぎ)初体験

久しぶりに「神社」のお話です。
この夏は、大きな研修に2つ参加し、忙しい日々を送りました。1つは、教員免許状更新のための5日間の講習、そしてもう一つは、四十うん歳になったのに、何故か「初任者研修」です。
その「初任者研修」というのは、神社の「神職」(いわゆる神主)の初任神職講習会というものです。私は、2012年に父が宮司を務める、宮城・角田市に鎮座する住吉神社神職になりました。(前の記事を御覧ください)それから4年、お祭りの時だけ奉仕する、いわば「にわか神主」を続けているわけですが、私の奉仕する神社を所管する「宮城県神社庁」では、就任して5年以内に「初任者研修」を受講することを奨励しており、今年受講することになったわけです。
 
受講会場の竹駒神社宮城県岩沼市

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神主の初任者研修ってどんなことをするの?修行??とお思いの方もいるかと思いますが、半分は昔ながらの「修行」っぽいこと、そして、半分は現代的な大学の講義のようなことをします。修行は主に朝夕の拝礼や、祭式の練習など、そして、講義では県内で活躍される神社の神職さんのお話しを聞き、神社を運営するための実務について学びます。その中でも、自分にとって一番衝撃的だったのは、(神社界の一員としては恥ずかしいのですが)この歳で初めて「禊」(みそぎ)を経験したことです。
 

「禊」これぞ、ザ・修行

 
「禊」と聴くと、滝の水に打たれたり、海にザブザブ入って行ったりする、しかも白鉢巻と褌(ふんどし)一丁で、というイメージがあると思いますが、…まさにそのままです…。今回私の場合は、滝や海ではありませんでしたが、褌一丁で水をかぶるのは一緒でした。私が講習を受けたのは、宮城県内でも特に大きな神社の一つなのですが、そういう神社には必ず「禊場」なるものがあり、そこで禊を行います。
 
竹駒神社の禊場

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水をかぶる、とはいっても、禊を始めていきなり水をかぶるのではありません。今と同様、体を水にならすための「準備体操」のようなものがあります。それは、おそらく禊が海辺で多く行われたことに由来するのでしょうか、「エィ、イェ!」とか「エィ、ホッ!」とかかけ声を掛け合いながら、舟をオールで漕ぐようなしぐさをしながら、腕を動かします。はじめは何だこりゃ、と思ったのですが、それをひたすら続けるのです。3分もすると、程よく体が暖かくなっており、水をかぶっても大丈夫な感じになります。そこから、水をかぶり、体を禊ぐ儀式に入るのです。
禊をやる、と聞いて、最初は「恥ずかしいなぁ」と思いました。褌一丁の姿を人前に晒す、など今までしたこともないからです。しかし、集まっている人は皆同じ境遇。見学している人などいません。あっという間に雰囲気に慣れて、せっせと水をかけている自分がいました。
 

確かに清々しい感じが…しかし…

 

研修期間中の毎朝6時ぐらいから、3回禊を行ったのですが、体験してみて感じたことは、確かに禊をしたことによって、体が軽く、清々しく感じられるようになった、ということです。おそらくいろいろなモノが体の中に溜まっていて、それらが禊によって落とされたことでそう感じたのでしょうか。(恥ずかしい思いをしてやった、ということもあるので、体にそう言い聞かせているだけなのかもしれませんが…)いずれにせよ、終わった後、妙に健康的になった感じがしたことは確かです。が、しかし…

 

これは、絶対「冬」にはやりたくない。

 

そう思う私は、まだまだ修行が足りないのでした…。

 

この初任者研修でたくさんの宮城県神職さんとお知り合いになれたことは大きな収穫でもありました。いつか宮城に帰る日が来るのか…今はまだ考えないことにしております…。

 

 

次世代の音楽の授業を模索して③…タブレットを使った鑑賞「木星」の授業の創造その2

鑑賞の授業に大切なものの欠落

 
前回の授業計画に大きく欠けていたもの、それは、原曲の鑑賞を通して、作曲者の思いや願い、意図にせまるという、鑑賞の授業の王道を踏み外している、という点でした。確かに、先の授業計画では、様々にアレンジされた木星の良さに対し、活発な意見交換が行われると思います。しかし、「比べてこれがよかったね」で終わってしまうのでは、作曲者であるホルストの思いや意図を、原曲中にまったく見出さないまま授業が終わってしまうことになります。これでは、鑑賞の授業としては、不十分であると言わざるを得ませんでした。
 

タブレットを用いた新たな授業展開の模索

 
この課題に頭を抱えている時、御指導を頂いている熱田庫康先生から、こんな提案を投げかけられました。
「曲をパズルのようにして、児童が組み立てていくことがタブレットでできないだろうか?」
木星」は3部形式の音楽であり、AーBーAのAにあたる部分はさらに第1主題、第2主題、第3主題に分かれています。そして第4主題にあたるBの部分が、前の計画で取り上げた「究極のメロディーM」になるわけですが、それらをブロックのように分け、それを組み立てていくことを通して、「究極のメロディー」を目立たせたいホルストの意図にせまれないだろうか、とおっしゃるのです。
これには、最初さらに頭を抱えました。これを実現するには、おそらく特殊なアプリを使用する必要がありますが、前述したように、学校のタブレットでは新たにアプリを入れることができず、また、これが可能となるようなWebページを作成するには、html5などの特殊な技術が必要でした。これを実現するには…もう奥の手を使うしかありませんでした。
 

iPadのアプリ探し→「ロイロノート」発見!

 
「音源を場面ごとに分割し、それをブロックのようにならべ、曲を再構成する…」そんなことがタブレットでできるとしたら、iPadのアプリでしか考えられない…そう考え、音楽再生系、プレゼンテーション系、マインドマップ系など、様々なアプリを探し回りました。そして見つけ出したのが、「ロイロノート」という授業支援アプリでした。
ロイロノート

ロイロノート

  • LoiLo inc
  • 教育
  • ¥600

 「ロイロノート」はもともと、児童生徒が自分たちでプレゼンテーションをするために作られた、いわばPowerpointの子ども版のようなアプリです。1枚1枚のカードに字や、絵、写真、映像、音声を貼り付け、それらを矢印でつなぎ合わせて、順番に再生していく、というものです。この機能を活用し、1枚1枚のカードに「木星」のそれぞれの主題を貼り付け、適当にア〜カという文字を付けて配置し、児童に「究極のメロデイーM」が最も輝くためにホルストが考えた演奏順序を自由に想像して並べてもらおうというのです。

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iPadアプリ「ロイロノート」を使った「木星」授業計画

 
そして、新た考えた授業計画はこうです。
 
(1)6つの各主題ア〜カをタブレットを使い、自分のペースでじっくり聴く。
(2)どのような演奏順序が最適か、ア〜カの並び順を個人で考える。(Windowsタブレットを1人1台使用、個人聴取)
(3)どのような演奏順序が最適か、並び順をグループで考える。(iPadの「ロイロノート」をグループで使用、グループ毎に聴取)
(4)グループごとに考えた演奏順序を理由とともに発表し、考えを学級全体で共有する。
(5)原曲を鑑賞し、ホルストの意図を知る。
(6)自分たちが考えた演奏順序との相違に触れながら、ホルストの意図にふれて思ったことを個人でまとめる。
 
この計画でも、全体の流れの中で、協調学習に似た学習展開を構成することができました。前回計画した様々にアレンジされた木星を聴く学習活動は、「究極のメロディーMのヒミツにせまる」ための導入には最適なので、3時間中の1時間目に実施することとし、2〜3時間目にこの学習計画を実施することにしました。
 

授業実現のために…iPadをかき集める

 
この学習計画を実現するためには、少なくとも6台(4〜5人に1台)のiPadが必要でした。そのために我が家のiPadすべてをかき集め、プラス☓☓して(ご想像におまかせします)何とか6台そろえることができました。(研究に犠牲はつきもので…)
 

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さて、授業を実施しての児童の反応やいかに…。次回お楽しみに。

次世代の音楽の授業を模索して②…タブレットを使った鑑賞「木星」の授業の創造その1

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音楽の授業で「音楽活動」にタブレットを活かせる可能性は…

 
タブレットが導入されたものの、現状の本校の環境では「音楽活動」そのものに使えるソフトはあまりないことがわかりました。(作曲者のことをネットで調べる、録音や録画をして演奏に生かす…などは可能でしょうが、それらは道具としての活用であって、「音楽活動」そのものに使えるわけではありません。)
しかし、それで諦めてしまっては、せっかくタブレットを使う環境があるのにもったいない…、というわけで、本格的な音楽活動に本校のタブレットが活用できないか、考えてみました。
 

鑑賞の授業研究に課した2つの「課題」

 
今回、授業を計画するにあたり、ある2つの課題を自分自身に課していました。それは、「鑑賞領域の学習活動でいかに協働的な学びを実現するか」そして、「鑑賞の授業でアクティブ・ラーニングを実現するために、どのようにICT機器を活用するか」というものでした。
鑑賞の活動の中で重要なことは、いかに「鑑賞する」という音楽活動の中で、感覚的な気持ちの良さを味わいながら、作曲者あるいは作詞者の意図に思いや願い、意図にせまり、音楽を形づくっている要素が操作された根拠を自分なりに見つけ、作品の価値を見出していけるかです。人によって感じ方が違う鑑賞の活動で、いかに協働的な学びを生み出すか、そしてICT機器をどう絡ませるか、最初は検討もつきませんでしたが、ある文献との出会いで「これだ!」とひらめきました。それは、千葉大学の金本正武先生たちのグループが2006年に発表した論文に掲載されていた、「木星」の中間部の様々な演奏を聴き、一番心に響いた演奏を宣伝し合う、という活動でした。
 

「鑑賞」の協働的な活動にタブレットの活用を絡ませる

 
今までの鑑賞の授業では、「聴く活動」を行う最中は、どうしても一斉授業的な形式を取らざるを得ませんでした。児童は限られた時間や空間の中で、同じ時間に、同じ演奏を聴いて、自分の考えをまとめる必要がありました。金本先生達のグループの研究でも、そこは全員で最初から最後まで聴くしかなく、だいぶ時間を費やしたようです。それが、タブレットを活用することによって、特に心に響いたところを繰り返しじっくりと聴いたり、時間によって曲を途中で飛ばしたりすることが、個人ベースでいとも簡単に(1タップで!)できるようになったのです。これを元に作成した授業プランが次のようなものでした。
 
  1. 世の中の多くの人の心を惹き付ける、究極のメロディー「M」(まだ題名は伏せておく)の紹介
  2. 様々な楽器(声)で演奏された究極のメロディーをタブレットで8つ聴く。
  3. 自分の心に響いた演奏を1つ選び、その理由を[共通事項]と結びつけて考える。(個人による考えのまとめ)
  4. 同じ演奏を選んだ者同士が集まり、なぜ良いのか、アピール点について話し合う(話し合い活動)
  5. 学級全体で、自分たちが選んだ演奏のコマーシャルをする。(学級での意見共有)
  6. もう一度、自分が選んだ理由を考え直してみる。(個へ戻る)
 
この学習計画では、3〜6の活動が、個からグループ、グループから全体、そして最後は再び個へ、という協調学習のような流れをとっており、鑑賞の授業でも十分アクティブラーニングを達成することができると考えられます。また、2,3,4では、タブレットを使い、個人やグループで楽曲を自分(たち)のペースで聴き、思考することが可能になります。しかし…機能が限られたタブレットでどのように児童が自由に曲を選び、聴くことを可能にするか…これを実現するには次の方法しかありませんでした。
 

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授業用のホームページを作成する

 
タブレットにはソフトこそ入りませんが、書類を既存のソフトで読み出すことは可能です。ならば、インターネットエクスプローラーなどで見ることができる、授業用の「Webページ」を自分で作成し、それに音源ファイルをリンクさせて、再生できるようにしてしまえばよい、と考えたのです。そして作ったWebページは下のようなものでした。
 

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演奏①、演奏②…と書いてある青い字の部分をクリックすると、音源が聴ける仕組みです。このページは、特別なソフトを使って作成したのではなく、使ったのはごく普通の「Word」です。ワードで普通に作った文書を保存する際に「Webページとして保存」を選べば、簡単にインターネットエクスプローラーなどのブラウザソフトで見ることができる「htmlファイル」を作成することができるのです。先ほどの「演奏①、②…」のリンク先もワード上で指定することもでき、同じフォルダー内に音源ファイルを入れておけば、字をタッチした時に、リンク先の音源を自動的に再生できます。
このhtmlファイルのショートカットをタブレットのデスクトップにおけば、そのショートカットをタップしただけで、すぐに学習に取り掛かることができる、というわけです。
また、この方法では、1つのフォルダにホームページで使用するhtmlファイル、音源ファイルをまとめることで、そのフォルダーごとコピーすれば、どのタブレットでも起動することができ、授業用のホームページを開き、音源を聴くことができます。タブレット1台ごとコピーしなければならない、という手間はかかりますが、タブレット内にファイルがあるということで、確実に音源を再生することができるのです。
 
 
この学習計画で行ける!と思ったのですが、この計画には大きな欠点がありました。この続きはまた次回に!
 
 
 

音楽之友社「教育音楽」Facebookページで紹介されました。

音楽之友社の雑誌「教育音楽小学版」の2016年12月号において、ICT機器活用の特集を組むということで、勤務校での取り組みについて先日取材を受けました。学校教育のICT化が進む中で、音楽の授業もその流れに逆らうわけにはいきません。何ができるのか、何が変わるのか…模索を続けていきます。