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TAKAHIRO KONASHI official blog

音楽授業支援サイト「明日の音楽室」開設のお知らせ

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 この度、私の今までの教育実践を紹介し、作成した教材などを共有できる小学校音楽授業情報サイト「明日の音楽室」を開設いたしましたので、ご案内させて頂きます。
 音楽の授業の指導方法を教師が学ぶ場合、今までは関連する書籍や雑誌を読んだり、各地で行われる研修会に参加したりすることが中心でした。多くの先生達は、それらから得た情報を頼りに、自分なりの指導法を磨き、たくさんの優れた教材を自ら作り、授業で活用してきました。しかしながら、そうした実践や教材等は、書籍や雑誌で紹介される場合や、その先生のいる限られた地域の中で行われる研修会でしか広まることがなく、全国の先生方に知れ渡ることはありませんでした。また、パソコンなどで作られた電子媒体の文書や教材は、本や研修会では扱いづらい、というのも、広まりづらい一因だったとも思います。
 しかし、今はインターネットの時代、そして情報を上手に活用することによって、新たな価値を創造していく時代です。また、多忙を極め、教師の働き方が問われている今日の学校現場では、いかに業務の効率化、スリム化を進め、教師本来の仕事である授業力を高め、子供たちとの時間を確保するかが重要課題でもあります。
 そのような状況を踏まえ、私は自分が音楽の教師として今まで行ってきた教育実践や作成した教材、業務に関わる文書テンプレート等をホームページ上で公開し、共有できる「音楽授業情報サイト」を立ち上げることにしました。私の実践自体は些細なものですが、こうした教師自らによるネット上での情報発信が増えることによって、全国に散らばる音楽教師の情報共有が盛んとなり、先生方の授業力の向上や、業務の効率化の一助となれば、と考えております。ホームページはまだまだ未完成で、これからコンテンツを増やして行く段階なのですが、ぜひ一度お訪ね頂き、ご意見ご感想などを賜れれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。 

音楽授業情報サイト「明日の音楽室

https://www.ashitano-ongakushitsu.com

 遠く先の「未来」ではなく、「明日」の授業に活かせる情報発信に努めて参ります!よろしければ、ブックマークして頂ければ幸いです。

 

なお、今後の記事は新HPに移行して掲載いたします。

(本ブログの記事はしばらくはそのまま閲覧できます。)

音楽室に専用タブレット(iPad)を導入④ 〜音楽室で使う準備(周辺設備編その2)〜

音楽室に専用のタブレットがやってきました。前回のタブレットを安全、快適に児童が使うための周辺設備の工夫に続き、今回は「音をグループごとに聴き分けるための工夫」についてお話しします。

グループごとの鑑賞活動を劇的に変えたもの

今まで、鑑賞活動というと、音楽室のステレオアンプを使い、クラス全員が同じ音楽を同時に聴く、「一斉授業」の形式が中心でした。カセットやCDデッキを使って、鑑賞のグループ活動をする授業もできないことはないのですが、機材の扱いが面倒だったり、教室内で音が混ざり合って聴き取りにくかったりと、難が多いものでした。それが、タブレットとヘッドフォン、そして「あるもの」を使うことによって、とてもシンプル、かつ効果的に鑑賞のグループ活動を行うことができるようになったのです。
その「あるもの」というのが、これです↓

この何とも可愛らしい、珊瑚のようなものは、「イヤフォンスプリッター」というものです。
この穴の一つを、タブレットやCDプレーヤーの音声出力につなげます。
そして、残りの穴に、グループのメンバーが使うヘッドフォンをそれぞれつなげます。
すると、タブレットやCDプレーヤーからの音が、同時に各々のヘッドフォンに流れるという訳です↓

この「イヤフォンスプリッター」を使うことによって、グループ全員が同じ音楽を聴きながら、話し合いを進めることができます。しかも、音が外に漏れないので、他の班に音が大きくて迷惑をかけることがありません。これは、音楽の授業での鑑賞活動のあり方を変える、革命的なアイテムと言えるでしょう。

唯一の欠点は、音が漏れないためグループが聴いている音を教師が把握しづらい、ということですが、それは、教師が机間巡視する際に、ヘッドフォンを持参して、イヤフォンスプリッターの空いている端子にそのヘッドフォンを差し込んで、音を聴取すればいいのです。
このグループ分のイヤフォンスプリッターと、児童分のヘッドフォンを用意することによって、グループごとの鑑賞活動や、音を聴取しながら行う音楽づくりの活動がスムーズに行えるようになりました。 
因みにこのイヤフォンスプリッターですが、Amazonで¥500もしません。他にも、いくつかの音源をミキシングして、一つのスピーカーやヘッドフォンに出力するなど、いろいろな使い方ができます。これを考えた人、本当にすごいです…。

100円クオリティーもバカにできない

 次に、子供達が使うヘッドフォンですが、本当はある程度値段がするものの方が音や品質はいいのですが、40個も用意しなければならないので、「とりあえず」100円ショップのものを選んでみました。選ぶに当たっては、
 

①体の一部が触れるものなので、児童が気持ちよく扱えるように、インイヤータイプのものは避け、オーバーヘッドタイプのものにする。

②コードにそこそこの長さがある。

③見た目が100円ぽくない(!)

 
…という非常に難易度の高い選定基準を設定。そして、数ある100円ショップのヘッドフォンから私が選んだのはこれです↓

これは、「キャン・ドゥ」という100円ショップで売っているヘッドフォンです。100円ショップ巡りをして10個近くヘッドフォンの使い比べ、聴き比べをしましたが、おそらくこれがベストです。
 
ヘッドフォンとイヤフォンスプリッターは、このようにグループごとに専用の箱に入れて、使用する時だけ配ります。↓

ちなみに、この箱も100円ショップ。いやぁ、すごいです、100均クオリティ!

 いかがでしたでしょうか。とりあえずこれで、音楽室で子供達が、安全かつ快適にタブレットを使用する環境が整いました。いよいよ次回からは、現在の勤務校で行ったタブレットを用いた授業のいくつかの詳細について、お話ししていきます。(ゆっくり、まったりと進みます。ご容赦ください…)

 

映画「この世界の片隅に」の世界観と、主題歌「みぎてのうた」

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観に行きたい!!と思っていながら、近くに上演している劇場がなく、結局映画館で観る機会を逃してしまった、こうの史代さん原作のアニメ映画「この世界の片隅に」を最近ようやく観ることができました。映画そのものの素晴らしさもさることながら、久しぶりに心に滲みる深い音楽に巡り合ったな、と感じたので、感想を記しておきます。
 

戦時中の人々の生活を淡々と描く、独特な世界観

この映画は、戦時中の広島・呉で人生を送る主人公「すず」の日々の生活と、家族や人々の暮らしの様子や街の様子を描いていく作品なのですが、他のいわゆる「戦争の恐ろしさを伝えるための映画」とは一風違った作品に仕上がっています。いわゆる「庶民の生活目線」で戦争を捉えた作品であり、戦禍に巻き込まれ悲しい思いをしながらも、日々逞しく、そして淡々と生活していく人々の様子が描かれているのです。
こうの史代さんの描く人物や風景の親しみやすさ・美しさや、広島や呉の街の様子のディテールへのこだわりもさることながら、私が中でも特に感銘を受けたのは、ストーリーと劇中に挿入されている音楽との見事な調和でした。
 

コトリンゴさん、との出会い 

この映画の音楽を担当したコトリンゴさんについては、映画を観るまで名前すら知らない存在でした。しかし、その歌声を初めて聴いた時、首から背筋にかけてゾクゾクっとするものを感じました。悲しみ、苦しみ、やるせなさといった人間の深い感情を、透き通った歌声と感情を露わにしない淡々とした口調から見事に表現しているのです。
映画のオープニングに歌われるのは、ザ・フォーク・クルセターズの「悲しくてやりきれない」のカバー。「胸にしみる空の輝き…」というコトリンゴさんの深い溜め息をつくかのような歌い始めに、ぐっと引き寄せられます。そして、「悲しくて、悲しくて、とてもやりきれない…」というこの曲のサビが、まるで戦時中を生きたすべての人々の思いを代弁するかのようで、この映画の内容を象徴するものとなっています。
悲しくてやりきれない

悲しくてやりきれない

  • provided courtesy of iTunes

 

主題歌「みぎてのうた」の衝撃 

また、映画の最後の方に出てくる、こうの史代さんが作詞し、コトリンゴさんが歌う主題歌「みぎてのうた」は、さらに深く感銘を受けた、私の人生の中で見つけた「心に響いた歌ベスト100」にランクインする歌の一つとなりました。
私はこの「みぎてのうた」の歌詞について、まだよく理解できていません。何度読んでも、どうしても一貫性やストーリー性がつかめず、何が言いたいのかよくわからないのです。
 歌の主人公は、映画の主人公「すず」さんの“右手”らしいのですが、時限爆弾で吹き飛ばされ、失われる、という映画のストーリーと照らし合わせてみてもよくわかりません。どうやら、原作の本を読むといくらか分かるらしいので、今度読んでみたいと思います。(…結局、原作本も買っちゃいました。只今ぼちぼち読んで意味を探っています。)それほど、惹きつけられる歌なのです。
 
まず、歌い始めが変です。
 
「真冬と云ふのに、なまあたゝかい風が吹いてきて…」
 
コトリンゴさんのしっとりした歌声と、弦楽器の高音の不協和音、チェレスタの伴奏が何とも絶妙な不思議感をかもしだしています。そして、さらに難解な歌詞が続きます。
 
「あなたなど、この世界の切れっ端にすぎないのだから…」
「あなたなど、切れぎれの誰かや何かの寄せ集めにすぎないのだから…」
 
「あなたなど」…ですよ。こんな辛辣な、他人を卑下する日本語は久しぶりに耳にしました。
しかもコトリンゴさんの美しい歌声からです…。この絶妙なアンバランス…。
 
しかし、逆に考えてみると、私達は世界の切れっ端にすぎないのだから、開き直って生きるしかない、という、戦争という、人類の最も愚の行為を経験した人に対する最大級の励ましの言葉のようにも聞こえます。
 
そして、曲のクライマックスには、
 
「どこにでも宿る愛」
「変はりゆくこの世界のあちこちに宿る、切れぎれの愛」
「ほら、ご覧、いま其れも貴方の一部になる…」
 
とさらに難解な言葉で締めくくります。これらは明らかに原作本を読まないと理解できない、(読んでも理解できない?)と思われるのですが、意味がわからずとも、コトリンゴさんの感極まった歌声と、弦楽を中心とした高まったメジャーコードの伴奏によって、何とも満ち足りた、幸せな気持ちにさせてくれます。 
みぎてのうた

みぎてのうた

  • provided courtesy of iTunes

 

 人の心を惹き付ける映画作品には、優れた音楽が付随しているものです。今回この「この世界の片隅に」という映画がヒットしたのも、コトリンゴさんの歌声をはじめとする劇中音楽の素晴らしさが大きく貢献したことに疑いの余地はありません。(インストゥルメンタルな曲も、映画のシーンが思い浮かぶしっとりしたいい曲ばかりです。)これからもコトリンゴさんの作品には、注目していきたいと思います。
 
また一つ、素晴らしい音楽にめぐり会えたことを、とても嬉しく思っています。
 
劇場アニメ「この世界の片隅に」オリジナルサウンドトラック

劇場アニメ「この世界の片隅に」オリジナルサウンドトラック

 

 

神主なのに…BOSE(ボーズ)好き?!

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左から「Quiet Comfort 35」「Sound Link Mini」「Sound Link Micro」

久しぶりにガジェットネタです。

気がつけばBOSE(ボーズ)社の製品に囲まれていました。若い頃はBOSE社の製品といえば、高嶺の花でしたが、何とか手に入れることができる身分になってきました。(ただ単にBOSE社製品の中でもリーズナブルなものを買っているだけのような気も…)個人的な考えですが、私はこのBOSE社の製品の音が大好きです。小さな筐体から低音がズーンと響き渡る感覚は、何とも言えない感動を与えてくれます。音について細かいことはよく分かりませんが、とにかく、音楽を聴く喜びを味わわせてくれるガジェットなのです。

えっ?この筐体からこの音量??思わず衝動買いの「Sound Link Mini」

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まず私が初めにBOSEの製品を手にしたのは「Sound Link MIni」という小型のBluetoothスピーカーからでした。確か3年ほど前、渋谷のビックカメラで試聴してみて、小さな筐体からは想像できないほどの豊かな低音を含んだ音量が出ているのに驚き、次に日には衝動買いをしていたのを覚えています。今でも、この大きさでこの製品に勝る音量や音色を放つBluetoothスピーカーには巡り合っていません。(現在は後継機種の「Sound Link Mini 2」になっています。)

ノイズキャンセリング・ヘッドホンの完成形、「QuietComfort 35」

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次に触手が伸びたのは、ノイズキャンセリングヘッドホン「QuietComfort35」でした。様々な音に囲まれる中で静寂を生み出す、というこのノイズキャンセリングヘッドホンには以前から興味があったのですが、実際にお店で試してみて、お店の騒音がほとんど消えて音楽だけになったのに感動。やはりこれも衝動買いでした。1人の世界に浸りたい時、このヘッドホンが重宝しています。

「Sound Link Mini」の感動をいつもそばに。「Sound Link Micro」←New!!

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「Sound Link Mini」はとても素晴らしいスピーカーなのですが、如何せん常時持ち歩くにはややごっつく、小さいとはいえ重さをズッシリと感じます。それでも最初は持ち歩いたりしたのですが、結局現在は、自宅の机用のスピーカーとして活用しています。何とかこのBoseの音を手軽に持ち運べないか、と考えていた矢先、出ました、BoseBluetoothスピーカーの新製品、「Sound Link Micro」!!これは、「Sound Link Mini」のような音量や音質を維持しながら、軽量化、防水や耐衝撃など、いつでもBoseの音を身近に楽しむために作られたスピーカーです。音を聴いてみたのですが、さすがに「Sound Link Mini」までとはいかないまでも、「こんな小さな筐体からこんないい音が!」というBoseらしい感動を与えてくれます。防水ですのでお風呂でも大丈夫。お風呂の響きと相まって、いい感じで鳴ってくれています。あくまで「モノラル」ですので、クラシック等をじっくり聴くには向いていませんが、BGM的に気軽に聴くにはもってこい。今では、車、食卓、お風呂とあらゆる場にコイツを持ち込み、音楽とともに生活するのがマイブームです。(特にamazonの無料音楽配信サービス「プライムミュージック」との相性は最高。「夜にしっとり聴くジャズ」や「ディナーで聴くボサノバ」など、シーンに応じた音楽を聴いて楽しんでいます。)
 

 BOSE社の製品が増えてきた、とはいっても、私が手に入れたのはあくまでパーソナルユースの音量が出るものだけです。本来BOSE社の主力製品と言えば、大型のスピーカーから低音の効いた芳醇な音色を響かせるもの、なのですが、どうしてもそれらには手が出せません。それは価格的な問題というより、「その性能を十分発揮できるような空間的なユトリがない…」という、都会ならではの住環境にいるからです。少しでも大きな音量を出そうものなら…(この先はご想像におまかせします…トホホ。)
 
 

音楽室に専属タブレット(iPad)を導入③ 〜音楽室で使う準備(周辺設備編その1)〜

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音楽室に専属のタブレット端末がやってきました。前回の使用のための準備(本体編)に続き、今回からはタブレットを安全、快適に児童が使うために考えた周辺設備の工夫についてお話しします。

タブレットを使うグループ活動がしやすい座席配置とは??

 まずは、音楽室で普段児童が使用する机、椅子などの配置について、簡単に御紹介します。4月から色々と考えて、今のスタイルに落ち着きました。通常の授業や吹奏楽クラブでの活用を主に考えつつも、グループでタブレットを使う授業スタイルについても考慮して配置してみました。

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↑通常の音楽の授業では、歌唱や器楽といった表現活動、あるいは鑑賞活動が主体となります。すべての活動のやりやすさを考えた時、①様々な活動場面での利便性を考慮し、机は使用しない ②ソプラノ・アルトという声部によるグルーピングのしやすさと、児童の移動のしやすさに配慮し、座席の中央に通路を設ける ③各椅子の前に譜面台を設置する…に落ち着きました。③の譜面台の設置については、設置したことで児童の動きの自由度に若干の制限がかかりますが、教科書などの楽譜や配布物への視認性や座唱や座奏時の姿勢が良くなることを考え、このようにしてみました。↓

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このような座席の配置でタブレットを使用する場合問題となるのは、「数台しかないタブレットをどのように配布して置くか」ということです。(1人につき1台であれば、すべての譜面台に1台ずつ置けば全く問題ないのですが…)4〜5人に1台というグループ活動での使用を前提とした現在の台数だと、このままの座席の並びでは、誰の譜面台に置いたとしても、周りの児童の視認性や操作性は低下し、話し合いが停滞してしまいます。
そこで、タブレットを用いた授業を行う時には、一時的に譜面台を撤去してタブレットを置くための可搬性の高いテーブルを各グループごとに設置し、そのテーブルを囲むように椅子を動かすようにしてみました。テーブルごとにA〜Hまでの班を設定し、座席の位置により①〜⑤で譜面台やテーブル等の準備や片づけなどの役割分担を設定することにしました。

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ここで使用する折りたたみテーブルは「お値段以上、二◯リ!」の製品で¥1,500程度、軽くて児童でも簡単に持ち運びができます。使用しない時はこのように重ねて保管するようにしてみました。

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この座席配置やテーブル配置の工夫により、通常の授業のための座席スタイルを維持しつつ、児童がグループでタブレットを使いながら活動するための特別な座席スタイルを形成することができました。
 

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次回は「周辺設備編その2:音をグループごとに聴き分ける工夫」に続きます。お楽しみに!

音楽室に専属タブレット(iPad)を導入② 〜音楽室で使う準備(本体編)〜

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音楽室に専属のタブレット端末がやってきました。今回は、タブレットを効果的かつ安全に運用するために考えた工夫についてお話しします。これから徐々に普及してくるであろうタブレットの音楽室での扱い方について、参考にしていただければ幸いです。(購入した物品は、できるだけ低予算で、音楽室での使用を考慮した場合によいであろう、というものを選んでいます。)
 

(1)タブレットを守るもの 〜ケース、液晶保護フィルム〜

音楽室でタブレットを使用する場合、他の教科と比べて、端末を持って歩き回るという機会はそう多くないように思われます。しかし、使うのは子供…。万が一の可能性を考えて、タブレットが落下などで壊れるのを防ぐ何らかの対応をしておくべきです。

①ケース

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筐体を守るケースは必須です。落ちても衝撃を吸収してくれるように、TPUあるいはシリコンという素材でできているケースを選ぶのがよいでしょう。厚ければ厚いほど安心ですが、かさばるので保管や輸送の際に苦労します。また値段も様々ですが、高ければ高いほどよいという訳でもなさそうです。
ケースはできれば蓋が閉まるものがよいです。輸送時の落下による画面の割れを防いでくれますし、蓋の裏側がクロスになっていて画面を拭いてくれるものも多いです。蓋が閉まると自動的に画面が消えるようになるものが最近は多いので、画面をすぐにスリープさせることもできます。
また、ケースの種類によって、様々な向きでスタンドになり、見やすくなるものがあります。できれば横向きに寝かせたときでも、立てたときでも自立するスタンド付きのものがよいでしょう。
 
<私が選んだもの>
よくお世話になるAmazonさんで選びました。安い割にはしっかりしていて、蓋もでき、横向きで立てても寝かせても自立します。欠点は少し薄いかな、と思うところと、「地味」なところです(個人的センスが絡むところでしょうか…。)
 

②液晶保護フィルム

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文字通り、画面を守るフィルムです。タブレットの画面はガラスですので、落とせば当然ひびが入るか、割れるかします。そうなると修理代がウン万円にもなるので、泣くにも泣けません。ケースとともに、画面を守るこのフィルムも必須でしょう。できれば、ガラスでできているフィルムの方が、耐久性はよいようです。
 
<私が選んだもの>
同じくAmazonさんで、2枚で¥1,000のものを選びました。コスパがよく、ガラスなので画面に張りやすいです。おそらく、これで十分です。

 

(2)タブレットの充電、同期

多数のタブレットを管理する際に大変なのがこの「充電」と「同期」をどうするかです。「充電」だけであれば、本体についてくる充電アダプターをフル動員すればすぐにでもできるのですが、本体の設定をするにあたり、1台1台個別にするのには相当時間がかかります。そこで導入したののが、この「iPad保管キャビネット」です。

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 このキャビネット、1度に10台までのタブレットを同時に充電できます。また、1台のパソコンから10台まで同時に同じ設定をすることができるのです。(例えば、同じアプリをインストールする、同じセキュリティルールを適用する、など)つなげるパソコンはMacに限られていますが、Macの無料ソフト「Apple Configurater2」を使うことによって10台までを一度に設定・同期する環境が整うのです。
こちらのキャビネット、普通に買うと10万円ぐらいするのですが、たまたまアウトレット商品があり、3万円ぐらいで入手できました。ラッキーでした。
 
設定は根性で1台ずつやる、でも充電はスマートに行いたい…そういう場合、こんなのもあります。

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たくさんのアダプターを使うことなく、スマートに多数のタブレット端末に充電が可能なAnker社の急速充電器です。こちらは3千円ぐらいで購入が可能です。
 
 次回は、タブレットを効果的かつ安全に運用するために必要な、様々な付帯備品についてお話しします。

音楽室に専属タブレット(iPad)を導入① 〜研究の立案から端末導入まで〜

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前回はアレンジした音楽室の様子を紹介しましたが、さらに異動して早々に「新しいこと」を始めましたのでご紹介します。

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前任校でのタブレット活用授業の様子

 

音楽の授業専用のタブレット端末が欲しい

気がつけば、音楽の授業におけるICT機器の効果的な活用方法について、各方面で論じることが多くなってきました。タブレットの授業での活用方法を紹介するにあたり、「教師」がタブレットを持ち、授業で活用することの有用性はだいぶ検証が進み、また他の先生方の実践も増えてきましたので、それらを参考にお話しすることができるのですが、「児童」がタブレットを持って授業で活用することについては、日本国内ではまだまだ実践が乏しく、自分もなかなか実現できないことでしたので、今後の私がすべきライフワークの一つに、と考えるようになりました。
 今までもタブレットを活用した授業は何度か行ってきたのですが、使うタブレットについては、借り物であったり、学校のものであっても遠く離れたパソコン室保管の共用のもので、その都度準備しなければならなかったりと、使い勝手があまりよくありませんでした。音楽の授業での活用の実践研究をもっと積極的かつ効率的に進めたい、と考えた時、やはり音楽室で専用に使えるタブレットを用意したい、と思うようになったのです。
 最初は、自腹を切ることも考えましたが、ある先生にご相談したところ、このような研究者の願いに応えてくれる(!)国の機関があることを知り、助成の申請をしてみました。すると・・なんと助成をいただけることになったのです。
 

日本学術振興会の「科研費」奨励研究に内定

文部科学省が所管する独立行政法人日本学術振興会は、国内の学術を振興する研究者に対し幅広く助成を行っており、それらは「科学技術研究費」(通称:科研費)と呼ばれています。学術研究というと、大学などの高等教育機関を対象と考えられがちなのですが、実は小・中学校などの教員を対象とした「奨励研究」という部門も存在するのです。私はこの部門に応募してみたのですが、多くの方にご協力やアドバイスを賜りながら、何とか内定を頂戴することができました。応募に当たり設定した研究テーマはズバリ「小学校音楽科におけるタブレット端末を活用した指導法の開発」です。今年度数回にわたり、タブレット端末を使った授業研究を通し、その有用性を模索していきます。

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研究費でiPadを9台購入!!

せっかく頂いた研究費ですから、有効に活用したいと思い、あれこれ考えた結果、ほぼ全額をあててタブレット端末(iPad)をそろえることにしました。さすがにクラス全員分という訳にはいかなかったのですが、タブレット端末を用いてグループ活動をする際に適当な数(3〜4人に1台)ということで、9台+手持ちの1台=10台で運用できることになりました。iPadは最近値段が安くなって買いやすくなった普通のiPad。32GBですが、授業で児童が使う分には十分です。やったー!!
 

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9台の新品iPad

 

なぜ「iPad」を選んだのか

この答えは明白で、ズバリ使い勝手がいいからです。タブレットは、OSによって使い勝手やできることがだいぶ異なるのですが、公教育ではいわゆる「大人の事情」により、子供にとって本当に使い勝手がよいものがあてがわれているとはいえません。
 研究するにあたっては、子供たちにとって本当に使い勝手がよいものは何なのか、理想的な機能やアプリケーションはどのようなものなのかをつきとめ、それを広く伝えることで、行政の先生方がタブレットを採用する際の参考にしてもらえればと考えています。「予算」だけで選んでしまい、結局使えない、という税金の無駄遣いにならないために…。
 
次回は、音楽室で効果的かつ安全にタブレット端末を運用するために考えたノウハウについてご紹介します。